speedy300でアクリル10mm厚を彫刻・カットする

 今回はSpeedy300 80w機を使用して、アクリル キャスト板 10mm厚の彫刻と切抜きをしてみたいと思います。



 まずはデータから。


 赤色と青色の線が切抜き、黒色が彫刻です。
 透明のアクリル板で作成しますので、加工したものを反対側の面から見た時に『trotec』と『laser.marking cutting engraving』の文字が読める様にデータを垂直反転しておきます。
(印刷の設定時に『Trotec Engraverのプロパティ』内で『横方向に反転』にチェックを入れてもOKです)

 
 加工に進みます。

材料:アクリル キャスト板 クリア 10mm厚(市販品)
レーザー機:speedy300 80w機
レンズ:2.5inch
ノズル:太口
エアアシスト:有 内部、外部 強め(約3.0k)※
DPI:500

※レーザ機内部のエアアシストの他、エアーコンプレッサーを外付けし使用しています。
 
●パラメーター
彫刻 黒 power 70 Speed 60 PPI 500
切抜 赤 power 100 Speed 0.06 PPI 5000 Zoffset 0.15
切抜 青 power 100 Speed 0.06 PPI 5000 Zoffset 0.15

●その他
アクリル板の保護紙・フィルム等は剥がしておく
加工台から加工対象物が10cm以上離れるよう『脚(ゲタ)』を設ける

 今回行うアクリル板のカットは『溶かして切る』方法を用いますので、アクリル板に付いている保護用の紙・フィルム等は予め剥がしておきます。
 先に保護紙・フィルムを剥しておく事により、切り抜いたエッジ部分が滑らかに手触りが良く仕上がる他、高熱により火が付く(保護紙・フィルムに引火する)のを未然に防ぐ事にもなります。
 なので、実際加工する部分よりも広めに保護紙・フィルムを剥しておいてください。

 今回のように高出力・低速度で分厚い材料をカットする時、焦点(Zoffset)をずらして加工する時などは特に失火しやすくなります。
 必ずレーザー機の傍に居るようにし、失火した場合は速やかにレーザ機を停止させ消火に努めてください。

 また、高出力・低速度でカットを行う場合は特に『レーザーの跳ね返り』が強く起こります。
『レーザーの跳ね返り』とは、加工対象物(今回の場合アクリル板)をカットした際、加工対象物を貫通したレーザーが加工対象物の直下に位置する加工台やハニカム台に当たり、跳ね返る事を意味し、その跳ね返ったレーザーにより加工対象物の裏面(加工台やハニカム台に接している、または向かい合っている面)が焼けたり溶けたりする事があります。

 これを防ぐには、加工対象物の実際に加工する部分の直下に何もない(空洞)状態にし、跳ね返りを起こすものを極力無くしてカットを行うのがベストです。
 100mm以上を目安に、加工対象物の実際に加工する部分を除いた部分に脚や台を設置するなど加工を行う部分の直下に何もない状態を作り加工を行ってください。


以下↓イメージ動画です


※撮影用にレーザー機本体のフタを開けています。
実際に加工する際は必ずフタを閉じて行ってください。



断面、エッジともにつるりと滑らか、手触りの良い仕上がりになりました。





コメント

  1. こんにちは
    切り始めたところと切り終わったところの間にできてしまう一本の線はどういう設定をすれば消せますか?
    勝手に質問をして申し訳ございません。

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    1. お問合せ有難うございます。

      『切り始めたところと切り終わったところの間にできてしまう一本の線はどういう設定をすれば消せますか?』

      上記につきまして。
      切りはじめと切り終わりの間に出来る線は基本的に消すことは出来ませんので、目立たなくする方法を紹介させて頂きます。

      ・カットしたい図形の内、窪んでいるところを切りはじめと切り終わりの位置にする。

      ・窪みが無い図形(○など)の場合、カットラインの切りはじめと切り終わりの間をごく僅かに開ける。
      (『C』の状態にする)
      ※この場合、カットしたい図形を、実際に使用する加工対象物(アクリル板など)を使用し試し切り切りを行い、作図した図形とカットしたものの寸法の差(作図した図形-カットしたものの寸法=レーザー照射により溶けた部分)を計測し、差の半分の数値の分(レーザー照射により溶けた部分÷2=レーザーが照射されたライン約1本分)だけカットラインの切りはじめと切り終わりの間を開ける方法が良いかと思います。
      但し、レーザー照射により溶ける割合は解像度やSpeed、powerなどパラメーター値により異なりますので、実際に加工する条件に沿った試し切りと計測が必要です。

      ・切りはじめと切り終わりの位置にごく僅かに凸が出来るよう作図、パラメーター設定を行い、カット後プラスチック用研磨材(コンパウンドなど)で凸部分を擦り取る。


      以上です。
      ご参考頂けましたら幸いです。

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  2. はじめまして。レーザーカット特有の切断面のスジがなさそうですが、何か方法があるのでしょうか?

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  3.  お問合せ有難うございます。

     今回お問合せをご記入頂きましたこちらのページでは『メルトカット(溶かして切る)』の方法をご紹介しております。

     元よりレーザー加工機でアクリル(樹脂)カットを行う場合、材料を溶かすことでカットを行っていますが、メルトカットの方法では、レーザーのパワーを上げるとともにスピードを遅くし、焦点距離をずらして、より材料が溶ける様に出力の設定を行っています。
     よって、その切断面とエッジはつるりと滑らかな状態になっています。

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  4. はじめまして。
    4ミリ厚の透明キャストアクリル板をカットして
    切りシロ(溝幅)を0.4ミリ程にしたいのですが、
    パラメーターの設定で可能になりますでしょうか?

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  5. お問い合わせありがとうございます。

    パラメーターの設定で出来なくはないと思いますが、「キャストアクリル板」も様々なメーカー製の、様々な種類のものがあり、含まれている成分も個々に異なっています。
    そのため、一概に「このパラメーター設定で〇mmの溝幅が出来る」とは言えませんので、お手持ちのレーザー機と材料でテスト彫刻を行い、溝幅を正確に測定した後、ご指定の溝幅になるよう調節して頂く状態になります。

    また、上記も「その時、その材料で出来る」状態ですので、連続して同じことを行いたい、次回も同じことをしたい、などの場合は、その都度材料の厚みの計測、反りの具合確認、焦点の高さ調整を正確に行って頂き、テスト加工と溝幅の測定を行った後、指定の溝幅になるようパラメーター設定を行って本加工に進んでください。

    その他、レンズやミラーの清掃、集塵機をご使用でしたら集塵機のメンテナンスも事前に行っておくことをおすすめ致します。

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