合成樹脂加工された本革への彫刻


 4回目の今回は、合成樹脂で加工された革への彫刻を考えてみました。
  
やってみたのは3種類。

『シボ型押し(金色)』・・・クロムなめしの革にナイロン系の被膜とシボ(凹凸)型押しの加工をされたもの

『エナメル(カーキ色)』・・・ポリウレタン樹脂で塗装されたもの
(以前は革の表面に亜麻仁油という油を塗られたものだったようですが、今はポリウレタン樹脂で塗装されたものになっているそうです)

『ワニ柄型押し(臙脂色)』・・・アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、顔料、染料などで塗装されワニ柄の型押し加工されたもの

3点ともに表面(銀面)に合成樹脂加工を施された牛革、鞄や靴、財布などに用いられている感じのものです。


 まず初めに3回目まで(3月12・27日、4月3日)同様 Rayjet 30w機 power 20 speed 70 DPI 1000 高さ(Z軸)調整 無し(±0mm) にて彫刻してみましたが、丁度良かったのは『シボ型押し』のみで、『エナメル』は樹脂が溶けた跡が塊で残り彫刻ムラになって見える、『ワニ型押し』は型押しの凹み部分に彫刻が出来ていないなど彫刻が浅いようでした。

上記を踏まえ Rayjet 30w機 で

『シボ型押し(金色)』
power 20 speed 70 DPI 1000 

 『エナメル(カーキ色)』『ワニ柄型押し(臙脂色)』
power 30 speed 70 DPI 1000


にて彫刻したのが下写真です。↓ 


3点ともに彫刻痕(溝)はごく浅い、表面の加工を削り取った程度の深さです。

『水濡らし』は、今回は表面が合成樹脂加工されている為意味がないので行っていませんが、ヌメ革やクロムなめし革に同様の彫刻を施した時のような濃い焦げ茶色の焼跡は出来ませんでした。
・・・というよりもむしろ、焼けた焦げ茶色が薄い分凹みの幅が広い部分などは斑に見えたりもしますので、ここからは彫刻を施した革を用い、着色について考えてみることにします。


 使用したのは水性レザークラフト用染料の黒色です。
残念ながら、私が使用した染料は透明色ですので彫刻痕(焼跡)に黒色以外の色で色入れ(着色)をしてもきれいには出来上がりませんので。。。
あと、『ワニ柄型押し(臙脂色)』も臙脂色が濃いため黒色で着色しても逆に目立たなくなってしまうだけですので、こちらは後回しとします。

水性レザークラフト用染料 黒色 で着色したのが下の写真です。↓


写真の写り具合により着色した部分が少し茶色く見えますが(特に右側)、実物は黒色です。
金色のシボ型押しにもカーキ色のエナメルにも良く映える、きれいな出来上がりになりました。
今回は試彫刻なので着色後は何もしていませんが、耐水性などが気になる場合はレザーコートで仕上げ塗装をすると良いかと思います。


※上↑を応用すれば合皮(合成皮革)にも同じことが出来そうですが、合皮の場合は100%合成樹脂、アクリルやポリウレタンの他にもナイロン系などもあると思いますので、かなり低いpower設定で目立たないところに試彫刻してみるなど、注意が必要です。


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