co2(炭酸ガス)とfiber(紫外線)とflexx

  今回は弊社製品『flexxシリーズ』について考えてみたいと思います。

 まず初めに『flexx』とはco2レーザー機とfiberレーザー機、両方の機能を併せ持つレーザー機で、現状では『speedy100flexx』『speedy300flexx』『speedy400flexx』があります。


で、そもそも『co2』と『fiber』とは何か?どこが異なるのか?ですが。

 『co2レーザー機』は炭酸ガス使用機で、『fiber(パルスファイバー)レーザー機』は紫外線使用機。
co2レーザー機は『rayjet』『speedy100』『speedy300』『speedy400』『speedy500』『speedy1500』、
fiberレーザー機は『speedy100fiber』『speedy300fiber』『speedy400fiber』があります。

co2は熱で照射部分を溶解・燃焼させ彫刻・切抜き加工をするのに対し、fiberは照射部分を酸化・退色させマーキング・切抜き加工をします。

また、co2の加工対象物が紙、木材、アクリル、ガラス、ゴム、アルミ(アルマイト加工有のもの)等なのに対し、fiberはプラスチック全般(透明・半透明を除く)、金属全般等と、対象物が異なり、『出来る事』も異なります。

co2で彫刻すると、そのpowerやspeed、解像度の値により照射部分に大なり小なり凹が出来、文字通り「彫刻した(刻んだ)」状態になりますが、fiberの場合凹はほぼ出来ず、ものによって(プラスチック等)は僅かに盛り上がった状態での出来上がりとなります。
これがco2での彫刻とfiverでのマーキングの大きな違いで、見た目にも解る差となります。


 co2での彫刻加工については以前にも色々と書いてきましたので、今回はfiberでのマーキングについて上げてみます。

上記にも書いたように対象物はプラスチック全般、金属全般で、マーキングおよびカットに用います。
但し、透明・半透明のプラスチックは紫外線(パルスファイバー)使用のため透過しマーキング・カットともに不可、金属のカットは約1mmまで(金属の種類・配合具合による)可能となります。

 マーキングの見た目については、例えばアクリルの場合、co2での彫刻のような凹と白い彫刻カスや溶解痕を含む出来上がりではなく、塗料で着色したような色合いと僅かな凸でのマーキング出来上がりとなります。
これは紫外線レーザーを照射したことによる照射部分の素材の退色および劣化によるもので、一見同じように見える黒色アクリル板でも、『キャスト』『押し出し』など製法の違いや原材料の配合具合により発色は異なります。

アクリルへのマーキングイメージ
左 キャスト  右 押し出し
 写真左のキャスト製法の板は少しキラキラしたラメ入りの金色っぽい色での出来上がりに対し、右の押し出し製法の板は銀色っぽい白色での出来上がりになりました。
残念ながら写真では解り辛いですが、実物ははっきりと差が見て取れます。

手触りもキャストは僅かなザラザラ感(凸)を感じるのに対し、押し出しはマーキングした部分としていない部分の若干の差があるもののほぼ滑らかで平らです。
(今回使用したアクリル板は2種とも弊社事務所内に既存のものを使用しました。『キャスト』『押し出し』ともに、同じ製法であったとしても他の板(同種他材)にマーキングした場合も同じ出来上がりになるとは限りません)

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                   
 また、金属へのマーキングについては、co2の場合、彫刻はほぼ不可(アルマイト加工有アルミ除く)、出来たとしてもキレイとは言い難い出来上がりですが、fiberを使用すると、プラスチック同様こちらも凹はほぼありませんが、細部まで鮮明なマーキングが可能となります。


ステンレス板(塗装なし)へのマーキングイメージ
 
アルミ板への彫刻イメージ
左 アルマイト加工有  右 ブラスト加工有 

ステンレス、アルミともに小さなな数字(約1.5×1mm)や細い線など、微細な部分も鮮明にマーキングできています。
この他、クロム鍍金の加工品等にも同じようにマーキングができます。

 と、このように使用用途、出来上がりが異なる二つのレーザー加工を1台でこなせるのが『flexx』です。
また、この二つの異なる加工はjobcontrolのパラメータ設定で組合わせて行う事が出来、加工の位置やフォーカス(Z軸)の設定を一度で済ます事が出来ます。

 例えばfiberでマーキング後co2でカットするという加工をする場合、fiberレーザー機とco2レーザー機でそれぞれ行うと、それぞれのレーザー機で加工位置やフォーカス設定を行うことになりますが、『flexx』を使用するとfiberのフォーカス位置に合わせ加工をスタートさせると、fiberでの加工後自動で作業台がco2のフォーカス位置まで移動し加工を再開します。
そのため面倒な加工位置やフォーカス(Z軸)の設定を一度で済ますことが出来、作業時間の短縮にも繋がります。


レーザー機加工イメージ画像です↓↓
開始後1分57秒~1分59秒あたり、fiberでのイラストのマーキング加工終了後、自動で作業台が下降しco2でのカット加工用にフォーカスが合わされる様子が伺えます。




※撮影用にレーザー機のフタを開けて加工しています。
実際の稼働はフタを閉じた状態で行ってください。


                                                                                                                                                                                                                                                                                                   


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