Illustratorで薬研彫風彫刻

 今回はIllustratorで薬研彫風(彫刻した溝が『V』状になる)彫刻を考えてみたいと思います。


写真左 彫刻したものを正面から見た状態
写真右 左のものを切断した断面。彫刻した溝(凹み)がVの字に
一般的に木製の表札や看板などの文字彫刻に用いられる『薬研彫(やげんぼり)』。
 手彫りの場合、彫刻刀などで削りVの字の溝を作成しますが、レーザー機での彫刻は基本(※)溝の底面は平ら、『凹』の状態になるので、ドロー(ペイント)用ソフトや作図用ソフトでVの字になるようデータを作成する必要があります。

 この場合、Photoshopなどドロー(ペイント)用ソフトでグラデーションのデータを作成し出力するという手段がよく聞かれ、一般的かとは思いますが、作図用ソフトではどうでしょう?
 
 Corel DRAWには『等高線』というツールがあり、ステップとオフセットの数値を入力すると薬研彫風彫刻用データが作成できますが、Illustratorでは?
 
 そこで今回は、illustratorに焦点を絞り、データを作成し出力する方法を考えたいと思います。

※・・・jobcontrolの『スタンプモード』や『レリーフモード』使用の場合は除く。



●薬研彫風彫刻データ作成手順
(使用色が解りやすいように下地に水色を敷いています。本作業とは直接関係ありませんので予めご留意ください)

①まず彫刻したい文字を入力しフォント(書体)を決定、『アウトライン化』します。

上部ツールバー内『書式』→『アウトラインを作成』


②アウトライン化した文字をコピー&ペーストし、コピー元のオブジェクトを白色、ペーストしたオブジェクトを黒色に設定する。


③②で黒色に設定したオブジェクトを選択し、『パスのオフセット』を実行

上部ツールバー内『効果』→『パス』→『パスのオフセット』
・オフセット/ -2.0mm など「-(マイナス)」を付けた任意の数値を入力
・(文字の形体、線幅、大きさにより最適な数値を調整する)
・角の形状/『ラウンド』を選択
・角の比率/任意の数値を入力


④上部ツールバー内『オブジェクト』→『ブレンド』→『ブレンドオプション』を選択
(または左脇ツールバー内『ブレンドツール』を2回クリック)

間隔/『スムーズカラー』『ステップ数』『距離』の内、『ステップ数』または『距離』を選択
・ステップ数:任意の数値を入力
(コピー元のオブジェクトとペーストしたオブジェクトの間に入力した数値の階層が出来る)
例)「5」と入力した場合 合計7層
・距離:0.1mmなど「+(プラス)」で任意の数値を入力
(数値が小さいほど階層の間隔が狭くなる)

方向/『垂直方向』を選択

⑤左脇ツールバー内『ブレンドツール』を選択し2つのオブジェクトをそれぞれクリック

ペーストしたオブジェクト(黒色)は必ずコピー元のオブジェクト(白色)の前面にあるようにしておく。
前面に無い場合は黒色のオブジェクトを選択→右クリック→『重ね順』→『最前面へ』の
順にクリックし白色のオブジェクトの前に出す。


⑥上部ツールバー内『オブジェクト』→『ブレンド』→『拡張』を選択

これで各階層が単独のオブジェクトになる


⑦グループ解除



⑧水平向・垂直方向ともに中央に整列

上部ツールバー内『ウィンドウ』(または右部ツールバー内)→『整列』→『水平方向に整列』ならびに『垂直方向に整列』


以上で完成。



 少々手順は多いですが、Illustratorのみで作成出来るので、その他の彫刻やカットオブジェクトと組み合わせて加工を行う場合でもよりスムーズに作業を進める事が出来そうです。




 













 

コメント

  1. このブログは、宝の山です!

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    1. 有難うございます。そう言って頂けますととても光栄です!

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