火が付いた!何を使って消火する!?

今回はレーザー機で加工中火がついた(加工対象物が燃えた)場合の消火についてです。



 レーザー機で加工中、加工対象物や煙(ガス)、パラメーターの設定値などの加減により火が出ることはたまにあるものの、もしその火が消えなかったら!?加工対象物や加工台の下に溜まっていた切りくずに引火し燃え出してしまったら!?

もちろん、火が出ないようにする、火が出ても燃えないように目を離さないようにするのが大前提ですが、もし火が付いて燃え出してしまったら、何を使用して消火するのがレーザー機にとって良い(ダメージを最小限で止め、復旧が早く出来る)のかを考えたいと思います。


◆まずはじめに火災の種別から

・普通火災(A火災):木材、紙、繊維などが燃える火災
・油火災(B火災):石油類その他の油類などが燃える火災
・電気火災(C火災):電気設備などの火災

レーザー機の火災はA(加工対象物)とC(レーザー機本体)の混合と言えます。 


◆消火器の種類と用途、レーザー機への使用について

●ABC粉末消火器:一般的な燃焼物向け

  一般的に住宅や会社、施設など建物に設置されている、ABCの火災すべてに使用できる優れもの。
 しかし、噴射された粉末がレーザー機内部、ベルトやプロッター、基盤などに付着すると取れなくなる可能性があるほか、水で濡れると固まる性質があるため、消火後水を掛ける、水拭きするなどすると最悪レーザー機が使用できなくなる(全損になる)恐れがあります
 また、消火器の粉末を掃除機で吸うとすぐにフィルターが目詰まりするほかモーターが焼き付いて故障することもありますので、集塵脱臭機での吸引もしない方が無難です。


●強化液(アルカリ性)消火器:てんぷら油火災向け

 キッチンでの火災の消火に適していますが、主成分の炭酸カリウムが金属を腐食させることがあります。
庫内壁面の他レーザーヘッドやプロッターに付着するとベタベタになるほか錆びて白くなることがあり、小さな出火が多数の部品取替えで大きな出費に繋がることも。


●強化液(中性)消火器:樹脂、繊維火災向け

 植物由来のものもあり人体に害がないほか、消火後の片付けにあまり手間がかからないのも利点。
但し、機械内部、基盤や配線部分の奥に入り込むと取れなくなり、不具合を起こす可能性があるため注意が必要です。
また、レーザー機が濡れたまま使用するとショートする、感電するなどの恐れがあるので、後片づけで水拭き(洗い)した後もコンセントプラグを抜き、完全に乾くまで電源を入れないように


●ガス系消火器:精密機械、電気室、地下駐車場など復旧を早急にすることが必要な施設向け

粉末や強化液に比べレーザー機や加工対象物をダメにしてしまう恐れが無いほか消火の後片付けに手間がかからず、後片付け後レーザー機に損傷が無ければすぐに使用できます。
 ガスは窒素、二酸化炭素、ハロン(ハロゲン)など。
しかし窒息作用による消火のため「閉め切った室内で使用しない」「風上で使用しない」などラベルに書かれていることを熟読し、厳重な注意が必要


●水(浸潤剤等入り)消火器、純水消火器:精密機器向け

人体への影響が無く、一般的な火災の他、C火災(通電火災)にも使用可能。
消火の後片付けに手間がかからず、片付け後、レーザー機に損傷が無ければ使用できる。
但し濡れている状態で電源を入れるとショートする、感電するなどの恐れがありますので、コンセントプラグを抜いた状態で「完全に乾くまで放置」を忘れずに


●水:ペットボトルに水道水

人体にはもちろん無害、コスパ最高。
レーザー機に損傷がなければ、消火の後片付け後、レーザ機内部まで完全に乾かせば元通り使用できるようになります。
濡れている状態で電源を入れるとショートする、感電するなどの恐れがありますので、コンセントプラグを抜いた状態で「完全に乾くまで放置」を忘れずに


・エアゾール式簡易消火具:キッチンなどに置ける簡易消火具

封入されている消火剤が粉末、強化液(アルカリ性、中性)、ガス系(窒素、二酸化炭素、ハロン)と種類があるため、確認が必要です。
各消火剤については上述参照にて。


・投てき型消火用具:火元に向かって投げ入れるタイプの消火用具

封入されている消火剤が酸化カリウム(アルカリ性)のもの、中性のものがあるので確認が必要です。
各消火剤については上述参照にて。

また、投げ入れるタイプなので投げ込む位置が重要。
的外れなところに投げ込むと火が消えないばかりかレーザーヘッドやプロッターに当たると損傷する可能性があり、小さな出火が大きな出費に繋がることも。


◆まとめ

 レーザー機の消火には水(浸潤剤等入り)消火器もしくは水道水、ガス系消火器が好適ですが、ガス系消火器は使用に厳重な注意が必要なため、水(浸潤剤等入り)消火器もしくは水道水をペットボトルに入れたものが一番!
しかしそれはあくまで初期段階、付いた火が小さく、自身やレーザー機周辺のものに危険が及ばない程度の時の話ですので、炎が上がりレーザー機周辺や建物に及ぶほどになった時は躊躇せず粉消火器を使用し、速やかに消し止めるよう努めてください

また、上述にも記載していますが、水(浸潤剤等入り)消火器、水道水で消火した場合、消火後水洗い、水拭きを行った場合はコンセントからプラグを抜き、レーザー機内部部品等が完全に乾くまで使用しないよう注意してください。 
濡れたまま使用するとショートや感電する恐れがあり大変危険です。


◆その他

 消火後はまずレーザー機の焼けた箇所の写真を撮り(※)、加工対象物の取り出しや掃除の他、レーザーヘッドやその周辺部品(カメラが付いている場合はカメラ本体、ケーブルなど部品含む)の焼け・焦げの確認、レンズおよびミラーの確認を行い、必要であれば部品交換をご検討ください。

※弊社へメンテナンスのご相談・ご依頼を頂く際は、レーザーヘッドやその周辺、加工テーブル、庫内壁面、トップカバーなど焼けたものやその箇所が具体的に解る写真を頂けますとご案内がスムーズに進みます。

また、動産保険などに加入されている場合は事故として承認されるケースがありますので、各保険会社にお問合せしてみてください。

この場合も消火直後の写真があった方が有利ですので、掃除や片付け前の写真撮りを忘れずに。


◆そして何よりも!!

●加工テーブル(ハニカムもしくはグリッドテーブル)の下に溜まった切りくずはこまめに取り除いてください。

加工中は絶対にその場から離れない、目を離さないを徹底し、もし火が付いた場合は速やかにレーザー機のトップカバーを開けて消火してください。

エアー(レーザーヘッド脇の黒いチューブからの風)や集塵脱臭機の吸引により消えることもありますが、加工対象物や加工テーブル(ハニカムもしくはグリッドテーブル)の下に溜まった切りくずなどに火が付くと燃え続けることも多々あります。

レーザー機は全てのフタを閉じていても密閉はされていませんので、火が付いた状態で放置するとそのまま燃え続けます。

また、集塵脱臭機が火を吸い込むと集塵脱臭機庫内のホコリやフィルターに引火しレーザー機だけでなく集塵脱臭機までもが燃えてしまったりすることも。

その他、消火剤を吸い込むとフィルターが消火剤で汚れる(詰まる)だけでなく、機械内部の基盤やモーターに消火剤が付着し故障の原因になることもありますので、火が付いた場合はまず慌てず落ち着いてレーザー機を停止させ(※)、トップカバーを開て消火をするように心がけてください、

そうすることで、もし火が付いてしまっても出来る限り最小限の損失で済ますことが出来ます。

※レーザー機と集塵脱臭機が連動している場合はレーザー機を停止させると集塵脱臭機もOFFになりますが、レーザー機と集塵脱臭機が連動していない、もしくは送風機などをご使用の場合はレーザー機と合わせて集塵脱臭機(もしくは送風機)も停止させるように注意してください。







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