今回は写真彫刻を行うためのデータ作成についてです。
一口に『金属製名刺入れに写真彫刻』と言っても、『金属製名刺入れ』には一般的にアルミのものやステンレスのものなどがあり、『写真彫刻』の方法にもアルマイト加工されたアルミにはCO2レーザーで、加工されていないアルミやステンレスにはマーキング剤を使用しCO2で、またはfiberレーザーで、など様々な製品と加工方法があります。
という事で今回から数回に渡り、同じ写真を使用してそれぞれの製品に適した加工方法で『写真彫刻』を行ってみたいと思います。
先ずはデータ作成から。
※以下、PHOTO-PAINT2017での説明になります。
これまでにも複数回に渡りデータの作成方法(写真の加工方法)を書いてきましたが、ページをご覧頂いたユーザー様から①「どこまで加工すれば良いか解らない」②「網掛け(モノクロ1ビット変換)すると柄が出来て(※1)」というお声をちらほらお聞きするので、今回は「その辺どうなのか?」をもう少し掘り下げたいと思います。
①カラー写真から白黒(グレースケール)写真へ
カラー写真を切抜きやぼかし等加工を行いグレースケールに変換、メリハリをつける、必要に応じて加減する、その方法は以前書いたものと同様ですが、それが「どこまでか」について。
★過去記事(写真加工の基本)はこちら→PHOTO-PAINT紹介ページ
こちらも合わせてどうぞ→石に彫刻する ~データ作成編~
基本的な作業の後、グレースケールに変換した写真のメリハリの付け方がポイントになります。
ただ単純にカラーのものを『調整』→『グレースケール』でメリハリをつける、またはグレースケールに変換後『トーンカーブ』または『輝度/コントラスト/強度』でメリハリをつける、とこんな感じに↓
同じ色味のところは同じように白くなったり黒くなったりするため、写真全体でメリハリのバランスを取ろうとすると、毛並みにはメリハリがあまり出ず全体的にぼんやりグレーな感じ、それに対し目と口元、首辺りが影が出来ている加減もあり必要以上に黒くなり、鼻筋や目の周り、背景(頭の上)が白く抜けた感じ、頭と背景の境も曖昧になっています。
このままで白黒反転&モノクロ(1ビット)変換しレーザー機で加工を行うと、グレー部分の濃淡(網点の目)を完全には再現し切れない為、全体的に白っぽくベタッとした状態に仕上がります。
なので、グレースケールの写真にレーザー加工に必要な程度のメリハリをつけるには、各パーツ毎に写真を切り分けてレイヤーを作成し、部分毎に調整ならびに書き足しをする必要があります。
最終的に上画像内 左の写真の状態にするあたり、『全体』『顔』『顎下首回り』『目』『カーペット』『頭の上』計6個のレイヤーに写真を切り分け、前足周辺やカーペットとの境目の補正用に『下部塗り足し』、首回りとそこから上部分の描き足し用に『柄足し』を加えました。
そして、前述のカラー写真および白黒写真と見比べてみると解る通り、各部分毎に黒い所は黒く、白い所は白くメリハリを付けた他に、随分と描き足しを行っています。
顎下首回りの毛並みは勿論、右前脚の関節辺り(向かって左端部分)、口元、鼻筋、額の柄、頭と背景の境目など「無いものは作る」感覚でガンガン描き足して、カラー写真と見比べながら雰囲気を出しています。
この『雰囲気を出す』が最重要ポイントですので、猫や犬など動物の場合は、毛並みや柄などその個体の特徴となる部分が光(グレーの濃淡)の加減で見えなくなっている、曖昧になっている場合などは、元の写真をよく観察し、雰囲気が似る様に作っていきます。
今回使用した写真の場合だと、この猫は割と柄がはっきりしている茶トラで、額や顏周辺の柄は白黒に変換しても割とはっきり見えますが、顎下から首回り、胸辺りの柄は白黒にすると柄なのか毛が重なっている影なのかよく解らず、毛並みも全体的にベタッと束になっている感じです。(前述 カラー写真、グレースケール変換並びにコントラスト調整後写真参照)
なので、『それっぽく見える様に』色の違いが見えている柄にも更に描き足して柄の強弱を付け、大きな束になって見える毛並みはふんわり・もふもふ感が出るように小さな毛束を描いて、柄か影かが解りにくい部分はそれなりに雰囲気を寄せて作っていきます。
そしてグレー濃淡の調整および描き足し終了後、必要に応じて白黒反転、モノクロ(1ビット)変換を行います。
②グレースケールの写真をモノクロ(1ビット)変換する
この時に出来て困るのが『柄』(上記※1)で、その柄とは『モアレ(モワレ)』です。
モアレとはモノクロ(1ビット)変換で出来た網点の点と点がくっつき柄のように見える状態のことで、モアレが出来た画像をレーザー彫刻に使用すると、加工を行ったものにもそっくりそのまま表現される為、モアレをデザインの一つとして利用する以外は、残念な見た目ということになってしまいます。
PHOTO-PAINTでモアレが出来る原因の一つが画像のデータサイズ(ピクセル)と解像度(dpi)で、解像度が低いと出やすい傾向にあり、高く(1000dpi以上など)ても『ライン』の数により出ることがあります。
なので、彫刻に使用する写真の解像度は350dpi以上(低くても300dpiまで)とし、ラインも2~5あたりで様子を見る(※2)など調整が必要です。
ちなみに、一般的な印刷物に関しての線数の目安として、新聞で60~80線、カラーのカタログなどで150~200線などがあり、解像度1000dpiの場合、Photoshopで彫刻用データを作成する場合は80~175線程度に設定しますが、PHOTO-PAINTの『ライン』は3程度でPhotoshopの80線くらいの網点になるようです。
(※2)2~5あたりで様子を見る
目安です。
実際に使用する写真とその解像度により数値を調整してください。
5以上でもモアレが出ない(出ても目立たない)場合もあります。
但し、数値を上げる毎に網点の目が細かくなる為、加工を行うと点が潰れベタっとした出来上がりになる事がありますので程々に。
ここまでで一先ず写真の加工は終了です。
次回は今回作成した写真を用いて、アルマイト加工されたアルミ製の名刺入れにCO2で彫刻してみたいと思います(^_^)b
左/アルマイト加工アルミに彫刻 右/ステンレスにマーキング剤使用彫刻 |
という事で今回から数回に渡り、同じ写真を使用してそれぞれの製品に適した加工方法で『写真彫刻』を行ってみたいと思います。
先ずはデータ作成から。
※以下、PHOTO-PAINT2017での説明になります。
これまでにも複数回に渡りデータの作成方法(写真の加工方法)を書いてきましたが、ページをご覧頂いたユーザー様から①「どこまで加工すれば良いか解らない」②「網掛け(モノクロ1ビット変換)すると柄が出来て(※1)」というお声をちらほらお聞きするので、今回は「その辺どうなのか?」をもう少し掘り下げたいと思います。
①カラー写真から白黒(グレースケール)写真へ
カラー写真を切抜きやぼかし等加工を行いグレースケールに変換、メリハリをつける、必要に応じて加減する、その方法は以前書いたものと同様ですが、それが「どこまでか」について。
★過去記事(写真加工の基本)はこちら→PHOTO-PAINT紹介ページ
こちらも合わせてどうぞ→石に彫刻する ~データ作成編~
基本的な作業の後、グレースケールに変換した写真のメリハリの付け方がポイントになります。
ただ単純にカラーのものを『調整』→『グレースケール』でメリハリをつける、またはグレースケールに変換後『トーンカーブ』または『輝度/コントラスト/強度』でメリハリをつける、とこんな感じに↓
同じ色味のところは同じように白くなったり黒くなったりするため、写真全体でメリハリのバランスを取ろうとすると、毛並みにはメリハリがあまり出ず全体的にぼんやりグレーな感じ、それに対し目と口元、首辺りが影が出来ている加減もあり必要以上に黒くなり、鼻筋や目の周り、背景(頭の上)が白く抜けた感じ、頭と背景の境も曖昧になっています。
このままで白黒反転&モノクロ(1ビット)変換しレーザー機で加工を行うと、グレー部分の濃淡(網点の目)を完全には再現し切れない為、全体的に白っぽくベタッとした状態に仕上がります。
なので、グレースケールの写真にレーザー加工に必要な程度のメリハリをつけるには、各パーツ毎に写真を切り分けてレイヤーを作成し、部分毎に調整ならびに書き足しをする必要があります。
最終的に上画像内 左の写真の状態にするあたり、『全体』『顔』『顎下首回り』『目』『カーペット』『頭の上』計6個のレイヤーに写真を切り分け、前足周辺やカーペットとの境目の補正用に『下部塗り足し』、首回りとそこから上部分の描き足し用に『柄足し』を加えました。
そして、前述のカラー写真および白黒写真と見比べてみると解る通り、各部分毎に黒い所は黒く、白い所は白くメリハリを付けた他に、随分と描き足しを行っています。
顎下首回りの毛並みは勿論、右前脚の関節辺り(向かって左端部分)、口元、鼻筋、額の柄、頭と背景の境目など「無いものは作る」感覚でガンガン描き足して、カラー写真と見比べながら雰囲気を出しています。
この『雰囲気を出す』が最重要ポイントですので、猫や犬など動物の場合は、毛並みや柄などその個体の特徴となる部分が光(グレーの濃淡)の加減で見えなくなっている、曖昧になっている場合などは、元の写真をよく観察し、雰囲気が似る様に作っていきます。
今回使用した写真の場合だと、この猫は割と柄がはっきりしている茶トラで、額や顏周辺の柄は白黒に変換しても割とはっきり見えますが、顎下から首回り、胸辺りの柄は白黒にすると柄なのか毛が重なっている影なのかよく解らず、毛並みも全体的にベタッと束になっている感じです。(前述 カラー写真、グレースケール変換並びにコントラスト調整後写真参照)
なので、『それっぽく見える様に』色の違いが見えている柄にも更に描き足して柄の強弱を付け、大きな束になって見える毛並みはふんわり・もふもふ感が出るように小さな毛束を描いて、柄か影かが解りにくい部分はそれなりに雰囲気を寄せて作っていきます。
そしてグレー濃淡の調整および描き足し終了後、必要に応じて白黒反転、モノクロ(1ビット)変換を行います。
②グレースケールの写真をモノクロ(1ビット)変換する
この時に出来て困るのが『柄』(上記※1)で、その柄とは『モアレ(モワレ)』です。
モアレとはモノクロ(1ビット)変換で出来た網点の点と点がくっつき柄のように見える状態のことで、モアレが出来た画像をレーザー彫刻に使用すると、加工を行ったものにもそっくりそのまま表現される為、モアレをデザインの一つとして利用する以外は、残念な見た目ということになってしまいます。
PHOTO-PAINTでモアレが出来る原因の一つが画像のデータサイズ(ピクセル)と解像度(dpi)で、解像度が低いと出やすい傾向にあり、高く(1000dpi以上など)ても『ライン』の数により出ることがあります。
なので、彫刻に使用する写真の解像度は350dpi以上(低くても300dpiまで)とし、ラインも2~5あたりで様子を見る(※2)など調整が必要です。
ちなみに、一般的な印刷物に関しての線数の目安として、新聞で60~80線、カラーのカタログなどで150~200線などがあり、解像度1000dpiの場合、Photoshopで彫刻用データを作成する場合は80~175線程度に設定しますが、PHOTO-PAINTの『ライン』は3程度でPhotoshopの80線くらいの網点になるようです。
(※2)2~5あたりで様子を見る
目安です。
実際に使用する写真とその解像度により数値を調整してください。
5以上でもモアレが出ない(出ても目立たない)場合もあります。
但し、数値を上げる毎に網点の目が細かくなる為、加工を行うと点が潰れベタっとした出来上がりになる事がありますので程々に。
ここまでで一先ず写真の加工は終了です。
次回は今回作成した写真を用いて、アルマイト加工されたアルミ製の名刺入れにCO2で彫刻してみたいと思います(^_^)b
コメント
コメントを投稿