金属製名刺入れに写真を彫刻 ~アルマイト加工アルミ編~

 前回『金属製名刺入れに写真を彫刻 ~データ作成編~』に続き、今回はアルマイト加工アルミへの彫刻です。
『彫刻』とはいうものの、トロテックのレーザー機では、出力の関係で基本的に金属への加工は彫刻・カットともに行えないため彫痕(凹)は付きません。
 しかしアルマイト加工を施されたアルミ製品については、アルマイト加工の被膜にレーザーを照射すると白っぽく変色することを利用し、白い色のマーキングを施すことが出来ます。


 まずはデータから。

前回加工した写真を実際の加工サイズ(タテ・ヨコサイズ)に調整後、必要に応じてカラーの色反転(※1)、最後にモノクロ(1ビット)変換(※2)を行います。
 その他、モノクロ(1ビット)変換後の加工サイズの微調整(上部ツールバーより『交差』で必要な部分のみを抜取り)やロゴの挿入などもこの時に。
注)モノクロ(1ビット)変換後は拡大・縮小でのサイズ調整、データサイズの変更(Corel内での解像度変更)は不可です!

 上記の作業はPHOTO-PAINT、Corel DRAWどちらでも行えますが、Corel DRAWで行った方が加工テスト後の微調整などの際後戻りしやすいので、作業効率的にはCorel DRAWの使用がお勧めです(^_^)b
 『モノクロ(1ビット)変換』での網点の細かさ(点の大きさ)や角度は適正(※3)と好みによりますが、今回私が使用した写真はラインを4、角度を45度にしています。

※1 カラーの色反転 それぞれ上部ツールバーより
・PHOTO-PAINTの場合 ★PHOTO-PAINT2017使用時
『イメージ』→『変形』→『カラーの色反転』

・Corel DRAWの場合 ★Corel DRAW2017使用時
『効果』→『変形』→『カラーの色反転』
 データ上で黒い部分が白く、白い部分が黒(加工物の色)くなる事を念頭に置き、白黒反転を行って下さい。

※2 モノクロ(1ビット)変換 方法はこちら↓
網点データで写真彫刻 2 ~網点データの作り方~(2017.08.21更新)

※3 写真のデータサイズや解像度、内容により異なります。
網点の目が細か過ぎると潰れてベタッとした出来上がりになってしまったり、逆に大きくし過ぎると曖昧になり細かな部分が表現されにくくなったりするので、加減が必要です。


 加工に進みます。

◆必要なもの
・アルマイト加工アルミ製の名刺入れ(100均のものでOK)
・柔らかい布(加工終了後、加工時に出た粉を拭き取ります。無くてもOK)

◆使用レーザー機その他
レーザー機:Speedy300 CO2 80w
レンズ:2.0inch
DPI:500
加工モード:標準
ハーフトーン調整:モノクロ

◆パラメーター
パワー 50 スピード 55 PPI 1000
目安としてご覧頂き、ご使用のレーザー機のw数や実際に加工を行う製品(加工対象物)により調整してください。

・wの換算(例:80wでの加工を60wのレーザー機で行いたい場合)
80w×50%=0.50×80w=40w(約40w)=60w×0.67(0.666)=60w×約67%
(60w×▲%=0.▲×60w=40w 0.▲=40÷60)
=80wでパワー50%の場合、60wで約67%
※あくまでも換算です。微調整はその都度行ってください。


   加工イメージです↓


※動画内では撮影用にレーザー機のフタを開けて加工しています。
実際に加工する際は、必ずフタを閉じて行って下さい。
※加工中は必ずレーザー機の傍に居るようにし、目を離さないでください。


出来上がり。
元の写真と比べると、すべてのグラデーションが忠実に再現されてはいませんが、猫の毛並みや陰影、立体感など『雰囲気』が出せている事が解ります。

 またモノクロ(1ビット)変換での『モアレ』については、猫の頭上(左右の耳の間)の部分をよく見ると少しモアレ(=格子状の柄)が出ていますが、目立つのはその部分のみで猫に関しては出ていない(目立たない)ので今回はOKにしています。


 網点の目は拡大するとこんな感じに。
 必ず加工テストを行い、潰れない(潰れすぎない)程度にパラメーターを調整するのが程良い出来栄えになるカギです。


 

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