金属マーキングテープ 加工後の劣化について

今回は金属マーキング用テープの加工後の経年劣化についてです。


 2017年4月に販売開始後、現在も液体タイプ(メタルフィックス)とともに販売中の金属マーキング用テープ(Thermark Tape)。

マーキング剤の紹介はこちら↓
https://trotec-m.blogspot.com/2017/04/thermark-tape.html

 金属製品への名入れや製品番号のマーキングなどにご活用頂いておりますが、
その使用方法や使用感とともによく聞かれるのが「どれぐらい持つのか?」「剥がれたり薄くなったりしないか?」です。

そこで今回は、実際どうなのか?を検証し、比較してみました。

●加工年月日:2018年7月26日

●使用レーザー機その他:
・Speedy300 80W(実測 65W程)
・2.5inchレンズ
・細口コーン
・金属マーキング用テープ

●加工対象物:ステンレス製タンブラー

●加工方法:加工台に直置きにて彫刻
(口と底部分の高さ調整ならびに転がり防止のためタオルを敷く)

●パラメーター:
パワー/100 スピード/20 PPI/1000 Zoffset/-1.0mm(★)

★加工台に直置きで加工を行うため、加工を施す範囲内で曲面の一番高いところと一番低いところの中間あたりに焦点が合うようにわざと焦点位置をずらすように設定しています。
こうすることで高いところと低いところが同じくらいの出来上がりになるように出来ます。
しかし、焦点がずれることで彫刻は全体的に少しボケますので、加工内容に細かなデザインや細い線、小さな文字を含む場合には不向きです。
 また、『-1.0mm』はすべての加工に対して有効なものではなく、加工対象物の直径や形状により数値が異なるほか、ずらし過ぎるとマーキング剤の定着がムラになる原因になりますので加減が必要です。

●使用について:
・加工日から現在まで(約5年10か月)ほぼ毎日使用
・使用後、水または湯、洗剤、食器用スポンジで洗浄
・食洗器、乾燥機 不使用(タンブラー本体の注意書きに準じて)



 左(before)/2018年7月26日、右(after)/2024年4月10日撮影
右(after)はタンブラーを置いた机が白かったせいでタンブラーに机が写り込み全体的に白っぽく、左(before)も同じ状態でベージュ色っぽく見えています。

 1年を通してほぼ毎日、5年10か月ほど使用していたので、タンブラー本体は経年劣化で着色汚れや他の食器類と接触して付いた傷(擦れた跡)などが点々とあるものの、マーキングを施した部分は大して変化がないように見えます。

しかし、細かく観察してみると。。。

①~④それぞれ左がbefore、右がafter

上記の『焦点をずらす』方法で加工を行ったためそもそも掠れていた(ちゃんとマーキング剤が定着していなかった)部分は掠れが増している様子(①、②、③)。

その他、マダラに着いていた部分も薄くなっています(④)。

しかしその一方、焦点がずらした中でも丁度合っていたらしくマーキング剤が定着した部分はほぼ変化がなく、細い線も残っています(⑤)。

●金属マーキング用テープを使用する時は

加工対象物についている汚れやホコリ、指紋など油脂を丁寧に除去した後、マーキング用テープを加工対象物に貼り付け指の腹などで押さえつけるように十分密着させるのが基本ですが、焦点を正確に合わせるのもキレイな出来上がり&長持ちへの重要ポイントだという事がわかりました。

 タンブラーやカップなど円柱型のものへ加工を行う時はロータリーアタッチメント(回転軸)を使用し、使用しない場合は加工範囲の巾を10mmまでに抑え、正確に焦点を合わせることをお薦めします。


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