石に彫刻する ~加工編~

 今回は、前回『石に彫刻する ~データ作成編~』に引続き、花崗岩(御影石)板に彫刻を行ってみたいと思います。


 データ作成はこちら↓
『石に彫刻する ~データ作成編~(2018年8月7日火曜日 掲載)』


●使用レーザー機その他
・レーザー機:Speedy100 30w
・レンズ:1.5inch

●パラメーター設定
・DPI:500 加工モード:標準 ハーフトーン調整:モノクロ
・Power:40 Speed:10 PPI:1000 エアーアシスト:OFF(※)

●用意するもの
・花崗岩(御影石)板
・ペーパータオル(※)
・霧吹き(中身は水道水)(※)

※今回、ガラスへの彫刻(★)同様ペーパータオルと水を使用しましたが、ガラスへの彫刻ほど加工の出来具合に顕著な差は見受けられませんでした。
使用する石の材質(硬い・柔らかいなど)にも寄るかと思いますが、お好みで使い分けてください。
 また、ペーパータオルと水を使用しない場合は必ずエアーアシストをONにし加工を行って下さい。
 

 加工に進みます。

① 加工を行う石板を加工台に置き、彫刻を行う面積よりも大きいサイズ(今回の場合は石板のほぼ全面に彫刻を行うので、石板よりも大きいサイズ)のペーパータオルを石板の上に乗せます。

② 霧吹きで水を掛け、ペーパータオルのシワを、ペーパータオルを破かないように出来るだけ平らにのばし、彫刻スタート。
 今回エアーアシストをOFFにし、ペーパータオルの乾きが出来るだけ遅くなるよう配慮していますが、集塵機の吸引による空気の流れやレーザー照射の熱によりペーパータオルが徐々にですが乾いて行きます。
 加工前に充分に水を掛けておき、乾き始めたら早い内にレーザー機を一旦停止させ水を掛けてください。
 紙が乾いたまま加工を続けると、失火に繋がる恐れがあります。

★加工中は必ずレーザー機の傍に居る様にし、目を離さないでください。

③ 加工終了後、ペーパータオルの切れ端を取り除き石板を拭いて出来上がり。
石の表面が乾くにつれレーザーを照射した部分が白っぽく浮き上がって見えるようになります。



 彫刻痕の溝は凹凸がほぼ無い、ごく浅い状態。
 花崗岩(御影石)は石材の中でもとても硬い部類の石のため、尚更、彫刻で深さを出すのは難しいようです。
 石の磨かれた部分がレーザー照射により削れ無くなることで白っぽい色になりますが、白色塗料で色を入れた時ほど白くはなく、また、色を入れる事が出来るほど溝が深くないため、色は現状のままになります。

上画像 右:加工前、左:加工後 中央部:加工部分拡大
全体的に白く彫刻された部分の白色がまだらになり黒い斑点も見える状態に
石に含まれる鉱物の混ざり具合や目(柄)の粗さ・細かさにより、同じように彫刻を行っても白色がまだらに見えたり、中には黒い斑点のような模様が出てくることも。
 この黒い斑点もよく見るとレーザー照射を行った加減により僅かに削れ、少し白くなっていますが、その周辺の方がより白いため黒さが目立って見えています。


 ちなみに。
 下↓は黒に近い濃い灰色の花崗岩(御影石)板に彫刻を施したもの。
上画像 右上:彫刻部拡大 右下:石板の目(柄)拡大
彫刻を行った部分は白く、目だったムラが無い状態
石板の目(柄)もとても細かいため拡大しても特に目立ちません
こちらもレーザー照射による彫刻痕の溝の深さは殆ど無い状態ですが、石板の目(柄)がとても細かく色がほぼ単一のため、レーザーを照射した部分の色味に目立ったムラが無い状態に仕上がっています。


 一方こちら↓は白・灰色・黒が混合した石板。
上画像 彫刻部分拡大
右:彫刻のみ 下:彫刻後 色入れを行ったもの
彫刻を行っても白い彫刻痕が石板の色に混ざってしまいほぼ見えない状態に。
 上記までの石板同様彫刻痕の溝の深さも殆どない為、拡大鏡で見る、光に透かすなどを行うと何となく見える程度です。
 また、金色の塗料で色入れを行ってみましたが、色は彫刻痕ではなく石板の細かな凹凸に入っている状態で、ぼんやりと金色に染まって見えますが、彫刻痕を目立たせる効果にはなっていないようです。



◆まとめ
 上記3点の事から、レーザー彫刻に向いている花崗岩(御影石)板は黒色(濃い灰色)で単色かつ柄(目)の細かいもの、白や黒色が混ざったものは不向き、と言えそうです。
 赤褐色のものは、こちらも単色で柄(目)が細かいものであれば、ムラや斑点が目立たないものが出来るかもしれません。



★ガラスへの彫刻比較はこちら↓
ガラス彫刻に水が必要なワケ ~その1~(2017年7月3日月曜日 掲載)
ガラス彫刻に水が必要なワケ ~その2~(2017年7月4日火曜日 掲載)










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