金属製名刺入れに写真を彫刻 ~ステンレス&マーキング剤 編~

 今回はステンレス製の名刺入れにマーキング剤を使用して彫刻(マーキング)を行います。


 これまで2回に渡り『金属製名刺入れに写真を彫刻』としてデータ作成とアルマイト加工アルミ製名刺入れへの彫刻(マーキング)を紹介してきましたが、今回はその第3弾、『ステンレス製名刺入れへの彫刻(マーキング)』です。

 これまでのページはこちら↓
金属製名刺入れに写真を彫刻 ~データ作成編~ (2019年8月28日 更新)
金属製名刺入れに写真を彫刻 ~アルマイト加工アルミ編~(2019年9月13日 更新)

 しかし、弊社のCO2レーザー機では出力の関係上ステンレスその他金属(アルマイト加工アルミ除く)への彫刻は出来ませんので、マーキング剤を使用してのマーキングになります。
 また、マーキング剤はテープ状のものを貼付けて加工、または液体状のものを塗って加工になるため、レーザー照射部分の凹は無く、極僅かですが凸が出来る状態になります(※)。

 Trotecのマーキング剤↓
金属へのマーキングに!『Thermark Tape』(2017年4月4日 更新)

※加工後は爪で擦っても取れませんが、強い摩擦や経年などで摩耗することはあります。

  
 まずはデータから。
 以降corel DRAW 2017での説明になります

 基本となる猫の写真(画像)は『金属製名刺入れに写真を彫刻 ~データ作成編~』で加工したものを使用していますが、同タイトル『アルマイト加工アルミ編』とは異なるポイントが2つ。

① 今回はマーキング剤を使用しますので、白黒反転は行いません
 マーキング剤を使用すると、画像の黒い部分が黒くマーキングされ、白い部分は白く(加工対象物の地の色)残るため、画像の白黒反転を行うと、猫の黒目の部分が白く抜けてしまったり、鼻や口元などの影の部分の色が無くなり画像が欠けているように見えたりするようになります。
 もちろん、使用する画像や目的によっては白黒反転を行った方が良い場合もありますので、その都度必要に応じて行ってください。

② モノクロ(1ビット)変換でのライン数は『3』にします。
 使用する画像やその解像度にも寄りますが、『アルマイト加工アルミ編』で使用したライン数『4』にすると、網点の目が細かすぎ、潰れてしまう(点と点の間が詰まってしまう)傾向にあります。
 なので、アルマイト加工アルミに行うよりも少し大きめの網点に設定しておきます。

 上記2点と
・モノクロ(1ビット)変換後は拡大・縮小ツールを使用してのサイズ変更、データサイズの変更(解像度の変更)は行わない。
(Corel上でロゴやマークを挿入する以外の作業はすべてモノクロ(1ビット)変換を行うまでに行っておく)
を踏まえ、データを作成し加工に進みます。

◆使用レーザー機その他
・Speedy 300 80w
・2.0inchレンズ
・細口ノズル
・Thermark Tape(※)
※25mmと50mmどちらでもOKですが、貼り合せる場合、テープの継ぎ目に隙間が空かない、テープ同士が重ならないよう注意が必要です。
 尚、上記をクリアしても光に透かすと貼り合せた部分に薄く筋が入って見えますので、出来るだけ目立たない部分で継ぐことをお奨めします。

◆その他用意するもの
・ステンレス製名刺入れ(100均のものでOK)
・柔らかい布(加工前の塵やホコリ、指紋、加工後の彫刻カスを拭き取ります)
・水またはエタノール(キッチン用アルコールでもOK)

◆パラメーター
DPI:1000(500)
ハーフトーン調整:モノクロ
パワー:100 スピード:20~10 PPI:1000

◆加工のポイント
・まず最初に、ステンレス製名刺入れの加工を行う部分の汚れ(塵やホコリ、指紋など)を柔らかい布(場合によりエタノール等使用)で拭き取り、Thermark Tapeを貼って、指で押さえしっかりと馴染ませます。

・今回は名刺入れのフタの表側ほぼ全面にマーキングを行うため、表面をすべて覆うようにテープを貼り付けていますが、部分的にマーキングを行う場合はその必要箇所のみに貼ります。

・DPI:1000(500)について
 500でも加工可能ですが、スピード:20程度では網点の点々が小さいところが出づらいので、10程度にするなど様子見が必要です。 

・スピード:20~10について
 黒ベタ(網点処理の無い白黒のもの)のマーキングであれば20程度でOKですが、今回のような網点処理有りの画像の場合は、20では網点の点々が小さいところ(色目で言うと白に近い灰色の部分)が出づらいので、10程度で様子見が必要です。
 但し、DPI:1000でスピード:10にすると加工中ステンレスの板が反ってくるので注意が必要です

 加工終了後、残った部分のThermark Tapeを剥し、水またはエタノールで湿らせた布で彫刻カス(黒いスス)を拭き取って完成です。

◆加工イメージ


※動画内では撮影用にレーザー機のフタを開けて加工しています。
実際に加工する際は、必ずフタを閉じて行って下さい。
※加工中は必ずレーザー機の傍に居るようにし、目を離さないでください。

◆出来上がりイメージ


 データで作成した網点のすべての点々が再現(マーキング)出来ているわけではありませんが、雰囲気は解る感じに。



 マーキングを行った網点を拡大するとこんな感じに。
アルマイト加工アルミにマーキングした時よりも網点を大きくした分、拡大すると全体が曖昧な感じに見えますが、網点の点々が潰れていない(潰れすぎていない)ため、グラデーションができ、ひげの細かい部分も表現できています。






 

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