JCV キャリブレーションの重要性

 今回はJCV(Job Control Vision)のキャリブレーションの重要性についてです。

キャリブレーションを行わないとこんな事に。
赤い点線が本来のカット位置。1mm程手前にずれてカットされています。
以前にもJCVの製品紹介ならびに使用方法、作業に当たる上での注意点などをUPしましたが、今回はその中でも、JCV使用に際しての第一段階、『キャリブレーション』についてお話ししたいと思います。

 以前の記事はこちら↓
ジョブコントロール ビジョン ~製品案内とデータ作成~(2016年1月19日掲載)
ジョブコントロール ビジョン ~カット 準備~(2016年2月2日掲載)
ジョブコントロールビジョン ~カット~(2016年2月2日掲載)
JCV(ジョブコントロールビジョン)の基本を考えてみる(2016年4月22日掲載)


 JCV使用に関してのお問合せで割と多く頂くのが「カットがずれる」というもの。
 その具体的な内容をお伺いすると「印刷物に対し本来の位置よりも全体的に少しずれてカットされる」というお応えがその中でもまた多い内容です。

 この症状の時に一番重要になるポイントが『キャリブレーションを正確に行い、保存したか』です。
 しかし現状、「やってない」「…キャリブレーションて、何?」とお応えを頂く事もしばしば。
 なので、今回は以前UPした内容も踏まえて、再度、キャリブレーションの重要性について書いていきます。


 そもそもキャリブレーションとは、JCVとレーザーヘッドを同期させる=レーザー機にJCVカメラの位置を認識させるのが目的の行為なので、行わない、または適当に済ませて加工に進むと、レーザー機は正確なカメラの位置を認識せず動作するため、レジストレーションマークを読み込んでも、正確性に欠けた位置で加工を行うようになります

 キャリブレーションの方法はこちら↓
ジョブコントロール ビジョン ~カット 準備~
★文章内、中程より
『~レーザーヘッド(レーザー照射部分)とJCVカメラの同期~』

●キャリブレーションの大まかな流れと注意点

1、必要なものを用意する
・白いコピー紙または太めのマスキングテープ
★柄入りや濃い色の紙やマスキングテープ、透明板、木材等は不適当
キャリブレーション(=位置認識)を行うためのものですので、実際に加工する資材でなくてOK
・2~3㎝以上の高さの台になるもの
紙を上に乗せた時その直下に空洞が出来るもの、粘着テープの芯部分等でもOK
  
2、jobcontrol画面の右下、接続ボタンを押し本体と接続する
  
3、jobcontrol画面内上部ツールバーより『設定』→『オプション』をクリック
『オプション』の画面内、『ハードウェア』から枝分けされた『ビジョン』をクリック
『オプション』画面内『キャリブレーション』をクリック
  
4、『カメラオフセットのキャリブレーション』画面で、画面内の指示に従い準備を行って『開始』をクリック
  
5、レーザー機のヘッドを置いた位置に○が切抜かれ、JCVカメラがその位置に移動して止まる
★切抜いた○の中の部分が抜け落ち、パソコンのモニターにはその穴が●として認識されます。
抜け落ちなかった場合でも、カットラインの○(細い筋)で認識は可能ですが、抜け落ちた方がより認識が良くなります。
  
6-A、『プロセスが完了しました』画面が出ると位置調整終了
『保存』をクリック
キャリブレーションの画面を閉じる
必ず『保存』をクリックしてください
保存せずに終了すると、4までで行ったキャリブレーションは無効になります

6-B、『キャリブレーション』画面が出た場合
5の後『プロセスが完了しました』ではなく『キャリブレーション』画面が出た場合は
画面右下の『調整する』をクリック

チェックする点は2点、
・モニター内で●は鮮明な黒丸になっているか
・モニター内の緑色の○内に●がはみ出る事無くすべて収まっているか 

 出てきた画面『カメラ環境設定』内の『露出』『ガンマ』『閾値』のゲージをスライドさせ、ゲージ右側のモニターを見ながら露出調整を行う
  ↓
 露出調整完了後『OK』を押し、
モニター内の緑色の○から●がはみ出ている場合は『キャリブレーション』画面内の十字の矢印と大きさのチェックボックスで位置調整を行う
★この時に適当に済ませてしまうと、カットのずれが生じる原因になります

 露出調整を行っても●が鮮明にならない、モニター直下の緑色のメーターが100%にならない場合は、
・フォーカスの合わせ直し
台の上に置いた紙にフォーカスを丁寧に合わせてください
★キャリブレーション完了後、実際の加工物のカットを行う際、フォーカスの調整を忘れないよう注意してください。

・JCVカメラのLEDアダプターの掃除
JCVカメラからLEDアダプターを取り外して、アクリルガラスを掃除してください。
★ガラスクリーナーやレンズクリーナーを使用してください。アセトンなどが含有された溶剤はアクリルガラスの透明度を損ねるため、使用しないでください

7、調整が完了したら、『OK』を押し画面を閉じます。

 以上でレーザーヘッドとJCVカメラの同期が終了、レーザー機がJCVカメラの位置を認識した状態になります。

◆その他
 キャリブレーションを正確に完了、保存してもカットを行うと位置がずれる、ずれる幅が目に見えて大きい、カットラインに歪みが出る、等の場合は他の事が原因の可能性もあります。

・jobcontrolの画面に配置したカット用データの位置と、カットを行う材料の位置(材料に印刷されているレジマークの位置)が大きくずれていないか
・レーザー機 庫内にハニカムや治具を設置している場合、ハニカムや治具の位置がずれていないか
・作成したデータ内で、カット用のラインと、印刷用のイラストなどの位置がずれていないか
 
などを今一度確認し、どうしても解決に繋がらない場合はサポートまでお問い合わせください(^_^)b





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